愛と誠(2012)

2012年06月16日公開
愛と誠(2012)のポスター
5.8

どんな映画

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フリークレビュー
5

シビれる準備、して行ったのに…。

おかしいな、三池作品は好きなのに。
「三池がやらかしている」というメディア情報から、シビれる準備、して行ったのに…。

確かに、冒頭の妻夫木くんの「激しい恋」の熱唱&乱闘シーンは、これからめくるめくであろう展開に期待させる仕上がり。
が、役者たちが歌う4曲目に入ったあたりから、なんだか雲行きが怪しくなってくる。

バラエティ番組のコントじみたシーンが、ちょいちょい差し込まれ、
しかも、斎藤工の登場シーン以外はそれほど笑えない。

原作の「愛と誠」を今、そのままやっても響かないのもわかる。
そこで、「三池節のミュージカルで」という発想も興味深い。
が、どうも、そのさばきがもたつく印象。
企画の妙で引っ張るには、2時間超えは長すぎるし。
さらに、なぜエンディング曲があれなんだろう?

テンポが案外のんびりなので、前述のような懸念と疑問が、鑑賞中に頭をもたげてしまった。

まったく面白くないわけではないが、期待超えはなし。

三池監督は本作を、真樹日佐夫氏に捧げていますが、
私はポイントの8割を、斎藤工氏に捧げます。

茅野 布美恵
茅野 布美恵のプロフィール画像
会社員
6

ガム子がすべて

ああ可愛い、ガム子。ガム子です。
安藤サクラ演じるガム子がこの映画唯一の収穫です。
すくすく育った不良の魅力、「レディスチームのナンバー2にして三枚目」という二番煎じなキャラクターに徹した、ひたむきな可愛さ。
でもアタシ恋しちゃったんだもん。
頬を染めて不貞くされ、バレバレなのに気取られまいとする裏返しの純朴さがたまりません。
意外とステキな下半身も披露します。(パンモロ有り)
この愛すべきキャラクターは、製作者からも愛されているのか、登場人物の中で唯一大きく脱皮することを許されます。

でも、それ以外はぐだぐだです。
特に、今回の映画化のキモであるミュージカルパートがやっつけにしか見えないのは致命的です。楽曲はリップシンクもままならないカラオケ状態だし、パパイヤ鈴木の振り付けは「踊り」に昇華されることなく、単なる「付けられた振り」にとどまります。
本職の市村正親でさえ、誰もが想い起こす『ヘアスプレー』のクリストファー・ウォーケンに遠く及んでいませんが、非ミュージカル俳優を多用したからといって『世界中がアイ・ラブ・ユー』という成功事例がある以上エクスキューズにはなりません。いやそこはむしろウリだった筈。

ドラマにしても、誠をかばった愛が胸に三本もの投剣を受けたのに対し、愛をかばった誠が受ける投剣が腕にたったの二本だなんて、これで愛のドラマと言えますか(いや言えません)。

さて、そんな中でも安藤サクラのガム子だけは輝いています。
その身体能力とサービス精神を発揮したミュージカルシーンはこの映画随一の見せ場となっていますし、説得力のない役に対しても、安藤サクラは「受け」の演技によって相手役に説得力を持たせてしまう、そんな離れ業を地味に披露してくれます。

ぜひ、劇場にお出かけの際は、そんな彼女の底力を、どうか見逃さないであげてください。
わたしからのお願い。

田中 啓一
田中 啓一のプロフィール画像
詩人だねぇ
3

愛も誠もない信念なき暴走

「愛と誠」とはまた皮肉なタイトルだ。何しろ、この映画には70年代という時代への愛もなければ、原作への誠実さもない。

70年代当事の原作マンガやTVドラマに触れた機会はないが、一世を風靡したそれらオリジナルの持つ力は相当なもののはず。あの頃カッコよかった文化を今よみがえらせることで、劇画が生み出すアツさと、時代のギャップが生み出すユーモアを掬い取ろうとする企画の狙いは悪くない。

だが、この映画は原作の力を完全に過小評価している。現代的な言い回しやお笑いコントのごとき間によって人工的に作り出される笑いの数々には、“原作をそのまま映像化しても観客には受けない”という作り手の諦観がみてとれる。

また、ミュージカルパートで使われる挿入歌もその真価が引き出されない。それどころか、時代を彩った名曲たちはなんのリスペクトもなく嘲笑の道具として使われる始末だ。さらに、いざ泣かせにかかる重要なシーンでは小林武史作曲の書き下ろし曲が使われるという節操のなさ。あの時代への愛があればこんなことは出来ないはずだ。

原作への気遣いなどお構いなしで、70年代という時代へのノスタルジーを笑い飛ばす。セオリーをまるで無視した映画作りはいかにも反逆児・三池崇史の真骨頂だが、行き当たりばったりの信念なき暴走は、映画作りを知り尽くしたベテランによる計算尽くのパフォーマンスにしか見えない。

ミュージカル風な味付け、冒頭のアニメーション、中盤の紙芝居的なシークエンスなど、小手先の浅はかな表現の数々を個性と誉めそやすのは、逆に三池崇史に失礼だろう。商業映画として観客に阿(おもね)ることなく、三池の反骨精神がスクリーンに宿っていたら、傑作になりうる可能性もあったと思うと残念でならない。

※ガムコを挑発する誠を指して「あの新人、殺されるぜ!」とツブやいた不良役の彼。完全にツボに入って爆笑させられたぜ!

芳賀 健
芳賀 健のプロフィール画像
映画ライター・編集

『愛と誠(2012)』のカラーレビュー

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