人生はビギナーズ

2012年02月04日公開
人生はビギナーズのポスター
6.2

どんな映画

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フリークレビュー
5

半分100点、半分0点。

マイク・ミルズ監督は、本業がアートディレクターというだけあって雰囲気づくりがうまい。彼独特の、淡泊でオシャレな空気感を心地よいと感じる人も多かろう。

ただ、オシャレ以上のものを期待すると、どうしても人間ドラマの掘り下げの甘さ、浅さが気になってしまうのはデビュー作の『サムサッカー』の頃から変わらない。

とはいえ老年期に達して初めてゲイをカミングアウトする父親のパートは文句なしに魅力的で、ミルズと実父の実体験を基にしているからか、非常に説得力がある。オスカーに輝いたクリストファー・プラマーの演技も、当然ながら素晴らしい。

じゃあなにがダメかって、映画のもう半分を占めている、主人公の恋愛パートの絵空事っぷり。まずオシャレ業界で活躍しているけれど、プライベートでは恋にも人づきあいにも臆病ですという主人公の人物設定が、とてもアラフォーとは思えない気恥ずかしさ。劇中でも完全に「奥手の童貞」みたいな描かれ方をしていて、ソレっていい年こいたオトナとしてダメでしょ、と叱ってやりたくなる。

それなのに、だ。ウジウジフワフワしてるだけでなぜかフランスから来た妖精みたいな美人女優(演じるメラニー・ロランがべらぼうに可愛いです)と付き合えてしまうって、どんだけファンタジーなんですか!? 同じ男としても共感度はゼロ。父親パートが感動的なだけに、ママゴトみたいな恋愛パートのお粗末さが際立ってしまうのだ。

センスはあるけど、語り手としては役不足。「大人になれない大人」というモチーフも、自分を甘やかした言い訳のようにしか思えない。まあ、プラマー御大の名演やメラニー・ロランのキュートさを引き出したというだけで十分賞賛に値するような気もするけれど、やっぱりぬるま湯みたいな映画ですよ、コレは。ここは敢えて悪意を持って、ミルズを「男版ソフィア・コッポラ」に認定したい。

村山 章
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映画ライター
7

キャスティングの妙技。

展開は、ほぼ予告からの推測どおり。
でも、登場人物の動きやシーンの切り取りに、推測を超えた心地よさがあった。
役者のアップ、イラストのカットバック、母親と息子のお約束のコミュニケーション。
それらすべてに意志があり、効果的に観客の心に届く。

「サムサッカー」の時も感じたことだけど、ユーモアとオシャレ感とナイーブ度のバランスが好み。
そして、キャスティングが、パズルのピースがはまるようなしっくり感を、ちょっとの驚きとともにもたらしてくれる。

クリストファー・プラマーは言うまでもなく、
個人的には、ユアン・マクレガーは名優であることの何度目かの再認識をした一作。

主人公・オリヴァー(本作では、ほぼミルズ本人?)が置かれたシチュエーションはよくある事でもないし、うまく行き過ぎる展開もある。
でも、自分のストーリーとして追体験するスキを、この作品は観客に与えてくれていると思う。

シャレのめした職業に就きながら、38歳になるまで深い恋愛ができないのも、彼が単なるオクテなわけではなく、母親をはじめ人との距離感を「探る」ことで保ってきた結果。
父親の告白からコトは動き出すけれど、私は、母親との回想シーンに多くのことが語られている気がした。
40歳近くになって「ビギナーズ」である原因が、彼に魅力が欠けているからではないのだ。

環境は違うにしても、実はこういう人、少なくないんじゃないかな。
だはら、よくある「大人になれない」話とはちょっと違うと思わせてくれる。
これが、推測超えポイント。

タイトルとあまりにもストレートにリンクするラストも、なんだか素直に「いいな」と思えるのは、その瞬間までに、劇中の彼らを好きになっていたからだろう。

茅野 布美恵
茅野 布美恵のプロフィール画像
会社員

『人生はビギナーズ』のカラーレビュー

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