ジェーン・エア(2011)

2012年06月02日公開
ジェーン・エア(2011)のポスター
7.6

どんな映画

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フリークレビュー
10

ジェーン・イン・ハードボイルド・ゴシックランド

何度も映画化され、既に描き尽くされた古典―シャーロット・ブロンテ原作『ジェーン・エア』という物語をそのように認識している方も多いだろう。教科書的知識でストーリーはオチまで(ざっくりと)知っている。自分自身も御多分に漏れなかった。しかし本作は古色蒼然とした作品ではない。ジョー・ライト監督『プライドと偏見』のように、いやそれ以上のクォリティで古典を現代的に「再生」させた逸品である。
『ジェーン・エア』という小説は度々、一人の女性の生き様を描く「ハードボイルド」作品であると形容されている。デビュー作『闇の列車、光の旅』で少年少女の過酷な旅路を描いたキャリー・ジョージ・フクナガ監督は前作同様ソリッドな演出でジェーンを苛烈な運命に晒す。ゴシックな映像美は見事と言う他ない。
脚色も巧みだ。モイラ・バフィーニの脚本は時制をいじる事で観客の興味を引き付けると共に、現代的視点から見るといささか「饒舌」すぎる原作をうまく刈り込んでいる。エピローグをばっさりカットしてみせた「ここで切るか」というラストには感嘆した。
しかし何より素晴らしいのはジェーンを演じたミア・ワシコウスカの存在感だ。ティム・バートン監督の駄作『アリス・イン・ワンダーランド』で彼女が演じたアリスも「自分の生きる道を見つけ出す女性」という意味ではジェーンに通じるキャラクターだった。しかし今回ワシコウスカにより受肉したジェーンの前ではあのアリスの薄っぺらさが改めて分かる。そしてワシコウスカの力が炸裂するのは先述のラストシーン。ここには原作にも、これまでの映像化にもなかったジェーンによるラストラインが存在する。ワシコウスカの演技でこの台詞に「言霊」が宿り、作中人物を「呪縛」から解き放つのみならず、観客の感情までも解放し、究極のカタルシスがもたらされる―。
時代を超えた人間の魂の継承と昇華―まさに理想的な映画化作品である。

岸岡 卓志
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るろうに

『ジェーン・エア(2011)』のカラーレビュー

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